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法人税を節税する方法 その2(中小企業退職金共済)
admin (2018年05月08日 01:07)
前回に引き続き、今回は「中小企業退職金共済(いわゆる中退共)」です。
この制度は前回取り上げた倒産防止共済(経営セーフティ共済)同様、国の法律に基いて設立された制度で中小企業の従業員向けに用意された退職金制度です。
制度内容
従業員ごとに月額5000円から3万円までの掛け金を納付し、運用を任されている機構が運用して、退職時に対象従業員に対して掛け金とその運用に基づき、退職金が支払われるという制度になっています。
この制度のメリット
退職金を経費という観点でみると、いわゆる退職給与引当金(将来の退職にそなえて一定額を経費として引当計上しておくこと)は現在の税金計算上損金として認められておらず、支払時に一括して費用処理することとなっています。
この制度を活用するメリットはこれを先取りし、将来の退職金を先取りして損金として扱えるところが最大のメリットになります。
仮にこの制度を使わず、従業員の退職に備えて、一般の生命保険会社が扱う法人向け生命保険の福利厚生プランに加入して従業員の退職に備えた場合、一般的にはほとんどの保険が2分の1損金(支払った保険料の半分しか損金にならない)ですから、これと比較しても全額損金扱いというのは倍の節税効果があることとなります。
デメリット
一方この制度のデメリットとしては大きく2つありまして、
①退職金の支払いがこの制度を運用している機構から直接退職者に支払われることとなること
たとえば極端な話、本人の不祥事等に基づき会社の規定上退職金を減額するあるいは支払わないような状況に置いても、会社としてはこの退職者への退職金支払を止めたり減額をすることができません。
②月々の掛け金の減額を簡単にはできない
最低限、対象従業員の同意がないと月額掛け金の減額は認められないこととなっています。
したがって節税目的で大きな掛け金に一時的にしてしまった場合、減額変更ができない可能性があります。
まとめ
この制度は考え方としては退職金の前払の性格を有するものですから、実際に退職金制度を導入されていて、計画的に運用できるのであれば節税としても一考の余地がある、と考えられそうです。
ただくどいのですが、そもそも税金を最小限に抑える方法としては、個人事業主の方であれば法人を設立(いわゆる法人なり)をして、個人事業の高い税率を回避したり、家族間で役割を与えて役員報酬を出すことによって所得を分散化するということが基本です。
その上で自社の制度に合わせてこういった方法を活用することを検討していただくとより節税ができるのではないでしょうか。
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